親愛なる…
 すれ違っていく。
 その実感を。
 今でも生々しく、僕は覚えている。

 乗った波が違ったんだ。
 抗えない、
 強引でしかも魅力的な
 そんな双方向の力だった。
 二人をそれぞれに取り巻いた新しい環境が
 どれほど鮮やかで
 どれほど入り乱れていたか。
 僕はきっと、今でも敵わない。

 僕たちは若くて。
 浅はかで軽率で真剣だった。
 僕たちは迷ってしまったんだ。
 全てを。
 全 てをまともに受け止めるには
 余りにも些細な自分だったのに。
 僕たちは欲張りで
 優先順位なんて分からなかった。
 全てを望めば。そしてそのための努力を惜しまないならば。
 きっと手に入ると信じていたんだ。

 簡単に、壊れるような
 絆を持った憶えもなくて。
 この約束が、永遠に
 色を失うはずもないと。

 呆れるほど透きとおっていた想いが
 今では少し、苦しいけれど。

 君は元気にしているだろうか。
 相変わらず無理をしているようだと、噂に聞いたけれど。
 僕は今も故郷の街で
 あの頃君に話した夢の
 スタート地点に立ったりしている。
 君が遠くの街に行ったこと
 君の選択を、今も、最善だったと思っている。
 君の、真っ直ぐに未来を見据えた強い瞳を
 僕は今でも眩しく思う。

 新しい彼氏は出来たかい?
 優しくしてくれる人を選んで欲しい。
 君が幸せであればいいと
 その願いには自信がある。
 一生変わらない自信があるよ。
 だって君もそうだろう?
 君もきっと、そう願ってくれているだろう?
 もうそれだけしかないけれど
 それだけは変らないと君に誓える。

 あの頃、変ってしまうことが、自分たちが変っていく実感が
 とてもとても怖かったけれど。
 いつまでも、と身を切るように、同じ場所にいたかったけれど。
 なぁ。でも。僕たちは。
 あの頃よりは成長したよな。
 君だってもう、制服のスカーフよりは、
 綺麗なネックレスが似合うだろう?


 僕たちは変化する。それが僕たちの可能性。
 淋しくても切なくても遣る瀬無くても。
 強かにしなやかに伸び上がるように。
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by ichimen_aozora | 2004-10-29 07:49 | ひとり
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