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カンナ
赤い花。
あざかに。
青い青い空の下で
赤く赤く咲いた花。

あまりにも完全にに赤いから。
目を奪われる。
奇麗だな。
真夏のぬるい風に揺れて。
はらり、と散っても。

奇麗ね。

なにものにも混じることなく。
溶けることなく。
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by ichimen_aozora | 2005-08-29 03:00 | ひとり
昼下がり
「届くといいな」
「ん?」
「お前の想いが、届くといいな」

 瞳を閉じるのだ。
 太陽が眩しいから。
 太陽みたいな、向日葵が眩しいから。
 いま、風が吹けばいいと思った。
 そして、そう。
 届けばいい。
 あなたに、ただ届けばいいのに。

 いい人そうな顔をして、私をそんな風に遠ざけないで。
 あなたに、幸せを願われたくなんかないの。
 そんな風に、笑って逃げたりしないで。
 傷付ける事は、出来ないなんてただの言い訳。

 向日葵が揺れた。目を閉じても残像が、残りそうで。
 煩わしくて、顔を背けた。
 あなたのことが、残像のように。
 記憶に残る事なんて、分かりきっていて、煩わしくても、なす術が無かった。
 あなたのことを、思い出すのが、向日葵なんかじゃなければいい。
 向日葵なんか。
 夏過ぎて。
 夏過ぎて。
 鮮やか過ぎて。

 春も夏も秋も冬も。
 きっと思い出すよ。
 優しくて卑怯な人だったと、きっと思い出すよ。
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by ichimen_aozora | 2005-07-07 14:28 | ふたり sideA
八月 (夏の記憶 vol.1)
 高3の夏、図書館で見つけた綺麗な人を、僕は好きだと思った。
 声をかけて、名前を聞いて、自転車の後ろに乗せたけれど。
 僕は彼女のことを、何も知らない。

    ☆

 8月の日差しは酷く強くて眩しくて、温暖化のせいか毎日はめっぽう暑い。35度なんてざらだ。夏季講習なんてものが急に始まっても受験生の自覚は皆無で、それでも暇に任せて予備校に行けば「必勝」なんて鉢巻を貰ってしまう。
 手にとってまじまじと見つめてみても笑いさえ込み上げてはこなくて、気分は白けて、薄ら寒くて気持ち悪い。
「必勝って、なんだ?」
 今更。夏は終わったんだ。梅雨明けと同時くらいに。地区大会の予選敗退で。遥か彼方に冗談のようでもちゃんと目指したはずの甲子園は、まだ、始まってもいなくても。
 ま、そんなもんだろうという周囲の感想がなんだか痛かった。もっとちゃんと応援してくれてもいいじゃないか。一緒に、夢くらい見てくれたって。
 終わったんだ。いくら暑くても。憧れのない夏なんて夏とは呼ばない。意地でも。ただの8月だ。暑くてだるくていいことなんて一つもない、灰色の8月。
 受験かー。
 ふーっと長く重くため息をついても、悲壮感が襲ってこない。多分重症なんだろうと思う。受験生として、この実感のなさは重症。
 
 終業チャイムが鳴り、遠くの席から坂内がよって来る。
「竹田―、かえろーぜー」
「おー」
「帰りにさー、何か食ってこうぜー、ラーメンとか」
「あちーなーそれ」
「じゃぁ何よ?」
「冷やし中華?」
「じゃぁラーメン屋じゃん。同じじゃん」
 坂内は笑って、そのまま教室の出口に向かう。僕は必勝鉢巻を丸めてかばんに突っ込んで、後を追った。
 高校よりもだだっ広くて無機質な教室。安っぽく軽くて傷も悪戯書きもない机といす。高い天井、多すぎる蛍光灯。フル稼働したクーラー。
 これは優遇というのか?
 受験生、それだけで、僕たちはどこまで特別なのか。
 どこが特別なのか、分からないけれど。
 グラウンドを転がる泥だらけの後輩を遠めに見て、あぁ、もう、あんな風には走れない、と思ってしまう。
 たった、2週間のはずなのに、な。畜生。

 

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by ichimen_aozora | 2004-12-23 03:23 | 夏の記憶
夏と青と空と夕焼け
 私たちはきっと、互いに臆病で優しすぎて、小さな嘘ばかりついていた。自分を守るために。お互いを守るために。
 それは罪もなく他愛ないものばかりだったけれど、自分ばかりをひどく狭い場所に追い詰めて、私たちは、窒息しそうになって目を背けた。
 ひどく小さな嘘だったのに。
 今なら分かる。守りたかったものはとても些細なもので、そして、そう簡単に失われるものではなかったのだけれど。
 あの頃、私たちは何も分からずに。
 ほんの少し傷付いただけで、粉々に壊れてしまいそうで。
 まるで近づけなかったね?
 思わず伸ばした手が空を掴むだけ。

 君は今頃どこにいるのだろう?
 私は。私はここにいます。
 背が伸びたけれど、空は相変わらず高いままです。
 色々な事が変わったと言うけれど、それでも抜けるように青く見えます。
 君は今頃、何をしているだろう?
 また出会えたらいいのにと心から思っていました。
 何も行動は起こさないまま、私は空を見上げたままで、心から願いました。
 もしもう一度会えたときにそれが奇跡だとか運命だとか思えるように、探さないでいようと思いました。
 私はここです。変らないまま。
 何か、原点のようだと思うのです。
 夏と青と空と夕焼け。
 あなたには伝わるといいなと願っています。




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by ichimen_aozora | 2004-09-25 05:49 | ひとり